長時間労働規制法案提出〜所謂過剰規制法案の是非〜
特にこの規制法案がこれまでと異なった画期的内容を含んでいるわけではない。
これまで繰り返されているように、長時間労働の改善やサービス残業の禁止を謳っているのであろう。
このような労働関係法案を見るたびに原付の速度制限規制と似ているなあと思ったりする。
原付は原則として速度30kmを超えてはいけないことになっている。
原付に乗ったことがある人ならば分かると思うが、時速30kmって本当に遅い。守っている人などほぼいない。
結果50〜60kmで走る原付が大半を占めることになる。
過度な規制法案は法律遵守の精神を鈍麻させるという例だ。
労働関係法案にも似たようなものを僕は感じる。
例えば、労働者は原則として毎日8時間、週に40時間しか働いてはいけないことになっている。
これを超えるには例外要件を満たさなければならないし、要件を満たしたとしても超えた分については割増賃金を支払わなければならない。
常に人員不足に悩まされ年々営業時間は延びていく傾向にある飲食店等ではこの時間規制を遵守することは困難だ。
すると使用者としては次のような思考になる。
「労働者の実労働時間を改竄して日8時間週40時間内に収めてしまおう」
仮に労働時間規制がもう少し緩ければその分だけ労働者は争いなく賃金を受け取れたかもしれない。
解雇規制についても軽く述べる。
日本の解雇規制はとてつもなく厳しい。
例えば寝坊して番組をすっぽかしたアナウンサーが指導を受けたにも関わらず、すぐ後に同じ事態を繰り返したため解雇されたがそれは無効であると判断された判例がある。
労働者は容易には解雇されないという保障を法律上受けているのである。
このような法律がある以上使用者は次のような対策を採る。
「圧力を掛けて、自主退職を強要しよう」
「長時間労働、低賃金扱いをして使い倒そう」
仮に解雇規制がもう少し緩ければ労働者は次の職へとスムーズに移れたかもしれない。
日本の労働規制法案が労働者のためにまるでなっていないと言っているつもりは全くない。
むしろ経済的社会的に弱い労働者の立場に立った整備がなされていると言える。
しかしそのような規制が過度に過ぎると結果として使用者はそれらを遵守する精神が鈍麻する。
このような関係性が原付の速度制限規制と似ているのではないかと良く思うわけである。
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