平成27年司法試験憲法について色々と
司法試験から数日経過して、自分の中で色々と整理もついてきたので内容について言及していきたいと思います。
色々と気になる点が残っているので、その点を中心に書いていきます。
形式上対話形式の方が書きやすいので対話っぽく書きます。
↓登場人物↓
lawperson
僕です。実際に本試験で思ったこと間違えたこと疑問点等をつらつらと書いていきます。
初受験なのでスペックもとくにないのですが、
2015年ロースクール既習卒業、平成27年司法試験初受験
直前全国模試は一応合推以上
本試験短答は85%前後です。
特に優秀という訳ではないので悪しからず。
甲子
同じく司法試験受験生。設定今のところ特になし。
僕の話の聞き役です
乙也
甲子と同じく。
こんな感じで進めていきます。当然ネタバレを含みますし正しい内容だけということでもないのでその点の注意をお願いします。
lawperson
じゃあさっそく憲法から始めようか
甲子
話題の憲法ですね。
lawperson
話題の憲法です。
余談だけど憲法は初日の2科目目で僕は労働法選択だから1科目目が労働法だったんだ。
その労働法の第1問で労働派遣法が出て憲法があの内容だったから、今回の司法試験は荒れる予感しかしなかった笑
甲子
とりあえず形式面では反論が設問1に組み込まれたことと遂に配点が明示されましたね
lawperson
そうだね。でも反論はコンパクトにってのは前から明示されてたからそれが設問1に組み込まれても書くことは変わらないし、配点についても大方の予想がそのまま明示されたって感じだよね。
じゃあ内容に入ろうか。
甲子
私は最後まで読み進めるまで何の人権が問題になっているのかなかなか分かりませんでした。
lawperson
それは僕もだよ。代替エネルギーが出てきたから財産権侵害かな?と思ったり、その後にシンポジウムが出てきたからまた集会の自由か?と思ったりで読み進めていった。
そしたら結果的にBはY採掘事業について反対意見ないしはその旨の表明をしたことを理由に正式採用されなかったと来たから問題の所在は掴めた気がしたんだ。
でも最後の一段落に主張が3つ並んでいてここで今年の憲法は難易度がやばそうだってことに気づいた。
甲子
Bの主張は生の事実としては、
①BとCは表現行為の内容・手段方法が全然違うのにこれを同一に取り扱ったのが差別だ
②BとDらは勤務実績が同じ(かDらの方が下)なのに、Bが反対意見を有していることを理由にして正式採用しなかったのが差別だ
③Bが甲市シンポジウムにおいて自分の意見・評価を述べたことを理由に正式採用しなかったのは許されない
というものですよね。
lawperson
僕もそんな感じに分析した。
でパッと思いついた疑問が
①はそもそも典型的差別と逆の主張であって差別じゃなくないか?(この問題意識は全く知らなかった)
①と②は14条1項と素直に構成すればいいのか、21条1項、19条の権利主張に差別を組み込めばいいのか
③の主張の存在意義は何だ。(③を21条1項の主張と構成すれば①の主張と大きく被るし、19条と構成すれば②の主張と大きく被る)
って感じでどれもが厄介な問題だから非常に悩んだ。
甲子
設問の誘導が出来る限りBの主張に沿う訴訟活動とあるんだから少なくとも①と②は14条1項構成でいいんじゃないんですか?
lawperson
うん。結論としてはその構成が正解筋だったんじゃないかなと今では思う。
でも、「憲法上の権利」の作法の記述が頭によぎったんだよね。
「平等権と実体的基本権の競合については①差別禁止が自由権に当然に含意されており、自由権のみの審査が行われる場合…………①表現の自由の保障は、特定の主張に対する差別的取扱いの禁止を当然に含意している」(P105)
で14条1項構成にすると合理的な理由に基づく区別は許容されるとの前提があるから21条1項構成にした方が原告としてはより強い主張が出来るんじゃないかと考えたんだ。
まあこれはきっと考え過ぎで素直に14条1項構成にするべきだったんだろうね。
甲子
でもlawperson君の構成でも内容は14条1項とほとんど一緒になるんじゃないですか。
lawperson
そうだね。結局は差別的取扱いの是非に帰着するからね。
まあここはこれくらいにしておこう。でも14条1項構成にした場合、原告としては審査基準を厳格にしたい訳だから「表現行為をしたことを理由にする」差別、「反対意見を有することを理由にした」差別でそれぞれ「」内から21条1項の趣旨、19条の趣旨(これは素直に14条1項列挙事由「信条」の解釈で足りるとも思われるが)を平等原則に読み込むことは必要だったんじゃないかなとは今でも思うんだよね。
甲子
それと主張①が差別といえるのかは私も凄く現場で迷いました。
lawperson
そうだよね。どうやらこの記述は青柳先生の憲法等に記述があるようなんだけどこれを知らない人(僕)は現場で四苦八苦したと思う。
だってテストの合格点が60点な時にBが50点でCが20点だったらいずれも不合格になるけどそれは差別でもなんでもないじゃないかと考えたわけだ。
甲子
これについては、Bが50点でCが20点の場合どっちも不合格にできるのはテストの合格点が60点だという点が合理的な理由と言えるならば差別ではないが、合格点が本来40点であるにも関わらずBとCを同一に不合格としたならば合理的な理由を欠くから差別となると考えればいいんですかね
lawperson
僕も現場ではそのような結論に至って論証に乗せたと記憶している。
この辺は問題意識を示せれば良かったんじゃないのかな。
※青柳先生の記述などは詳しく確認してないので曖昧です
甲子
主張③については、
ⅰ 甲市シンポジウムでの発言を思想の外部的発露と見て思想に基づく不利益取扱という19条で検討するか
ⅱ 素直に反対意見の表明という表現行為に基づく不利益取扱とみて21条1項で検討するか
があり得そうですよね
lawperson
これについてはどちらの構成もそれぞれ難がありそうだよね。
19条構成の場合、思想に基づく外部的行為と言われると君が代の判例が思い浮かぶ訳だけどあれは「起立しなかった」とか「ピアノを弾かなかった」とかの外部的行為を19条の保障に含めるかの問題だよね。この場合はこれらの起立しなかったとかピアノを弾かなかったを表現行為とみることは難があると思うんだよ。でもこれに対して本件は公の場での発言を表現行為と見ることは問題ない訳だから19条の保障に含める必要があるのかという点が問題だと思うんだ。
これに対して21条1項構成の場合、Bは甲市シンポジウムでの発言自体はなんの問題もなく行えているわけでこれを理由に正式採用しなかったからといって表現の自由を制約しているといえるのかという点が問題なんじゃないのかな。
でもふと思ったのが、19条は思想・良心を侵害されないという権利で21条1項は自己の思想・情報を他者に伝達する自由だよね。
だから思想(広義説)が内面にとどまっていれば19条で外部的行為として現れた場合は21条1項と構成するのが素直で思想に基づく外部的行為を19条の保障に含めるのはそれが表現行為と言えないような例外的な場合に限定すれば足りるんじゃないのかな。この辺は深く考えたことがないから全然わからないんだけど。
甲子
後は反論以下の問題ですか。
lawperson
この辺はまだ深く考えてもいないので割愛したいと思う。
採用の自由の裁量をどのように解するのかと前述したBとCとの同一取扱は差別なのかそうじゃないのかを展開してく感じなのかな。
とりあえず憲法はこんな感じです。
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